憲法改正を巡る国民世論を、2005年5月3日に朝日新聞が公表した世論調査をもとに見ていくことにしましょう。
まず、「あなたがいま、政治家に取り組んでほしいテーマは何ですか。(二つまで選択)」について、「憲法改正」と答えたのはわずか7%。憲法改正論議に熱心な政治家の先生方と国民との温度差を感じます。
「憲法全体をみて、いまの憲法を改正する必要があると思いますか。それとも改正する必要はないと思いますか。」という質問に対しては「改正する必要がある」と答えた方が56%いますが、その56%の方に「憲法改正は差し迫った問題だと思いますか」と尋ねたところ、「差し迫った問題」と答えたのは全体の30%、「全面改正にすべき」だと思うか否かを尋ねたところ、「全面改正すべき」と答えたのは全体の10%にすぎません。自由民主党の憲法改正プロジェクトチームとの温度差はやはり大きいようです。
憲法第9条については、「あなたは、憲法第9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。」という質問に対しては、「変える方がよい」は36%、「変えない方がよい」が51%。憲法第9条改正論は、多くの国民にとって魅力的ではないようです。「日本は憲法第9条で戦争を放棄し、戦力は持たないと決めています。この第9条は、日本の平和と繁栄にどの程度役立ってきたと思いますか。」という質問に対して「大いに役立ってきた」と答えたのが26%、「ある程度役立ってきた」と答えたのが50%というように、憲法第9条の意義を積極的に認めているのが国民の多数の意思だからでしょう。
他方、「憲法第9条について、日本が自衛隊を持っている実態に合わない、という指摘があります。憲法第9条と自衛隊の関係について、あなたの考えに最も近いのは、次のうちどれですか」という質問について、「自衛隊は今のままでよいが、憲法を改正して、その存在を明記する」と答えたのが58%、「自衛隊ではなく普通の軍隊とするために、憲法を改正すべきだ」と答えたのが12%。これが「今年5/3の朝日新聞世論調査では、9条第二項の変更を望む人が全体の70%でした。」(JSFさん)というふうに一人歩きさせられているようです(複数の世論調査のうちの1つで9条2項改正論が多数を占めただけで、その数字を所与の前提としてしまうのはそもそもいかがなものかと思います。)。しかし、自衛隊を普通の「軍隊」として位置づけることには賛同者が12%しかいません。したがって、憲法第9条の改正案が、現状の追認ということを超えて、自衛隊を「国防軍」と改称したりするなどより普通の「軍隊」っぽく取り扱うことを指向するものであると国民から受け取られた場合は、この58%の方々の多くが改正反対に回るのではないかという気がします。
自由民主党は、今年の11月ころまでに憲法改正草案をとりまとめるとしていますが、自衛隊が普通の「軍隊」として振る舞うようになるのではないかという危惧感を押さえるような条項を起草することができるのか(そもそもそんな気があるのか)注目されるところです。
>この第9条は、日本の平和と繁栄にどの程度役立ってきたと思いますか。」という質問に対して「大いに役立ってきた」と答えたのが26%、「ある程度役立ってきた」と答えたのが50%というように、憲法第9条の意義を積極的に認めているのが国民の多数の意思だからでしょう。
憲法第9条の意義を積極的に認めているのは26%だけでは?
ある程度役立ってきたというのは積極的だとは思えませんが…。
Rédigé par : むにゅう! | vendredi 14 octobre 2005 à 00:51
>手先様
感想に反論されても困ります。
Rédigé par : 佐藤 | lundi 16 mai 2005 à 01:25
>佐藤様
>抽象的に憲法の改正を問われても正直言って関心の持ちようがないです。
それは散々他の方が解説なさってると思いますが?
少なくとも、ここに書き込まれているということはその方面への関心が高い、ということですよね?
ネットのなかった時代と比べ、現代はそういった解説・考察がネット上にあふれています。
他人が自分の口に解釈を突っ込んでくれるのを待つ前に、自分から解釈を求めていくくらいの姿勢は、少なくとも法案の是非を論じる上では必要ではないでしょうか?
Rédigé par : 手先 | lundi 16 mai 2005 à 01:16
小倉先生もどっかで仰られてると思うのですが、憲法の改正にはそれに伴う関係法令(9条の改正であれば自衛隊法の改正案)も伴うわけで、抽象的に憲法の改正を問われても正直言って関心の持ちようがないです。憲法改正に熱心な政治家達は、改正によって具体的に何を実現しようとしているかを説明して欲しいと思います。
Rédigé par : 佐藤 | dimanche 15 mai 2005 à 18:58
小倉さんは、「憲法改正に関する世論」というエントリーで東京新聞や毎日新聞の世論調査を既に取り上げているので、このエントリーはその続編という位置づけなんでしょう。しかし、このエントリーにそういう前フリが無い為にこのエントリーから読み始めた人は誤読するでしょうね。そういう意味では確かに「誤読しやすい文章」だと思います。
>複数の世論調査のうちの1つで9条2項改正論が多数を占めただけで、
確かにこの世論調査が全てではありませんが、これは「国民は憲法改正をそれほど望んでない」という小倉さんの主張に対するカウンターとしては無視できないと思いますが。
Rédigé par : J2 | dimanche 15 mai 2005 à 14:04
あ、そうか。PINさんの主張はこうなんですね。
小倉:「憲法改正」と答えたのはわずか7%。憲法改正論議に熱心な政治家の先生方と国民との温度差を感じます。
↑この小倉さんの主張に対し、
↓同一エントリ内で小倉さんが言っている事をぶつける。
『複数の世論調査のうちの1つで~多数を占めただけで、その数字を所与の前提としてしまうのはそもそもいかがなものかと思います』
つまり小倉さんは自分の言った事が即座に自分に跳ね返ってきたわけです。
なるほど、私はPINさんの主張を誤読していました、すみません。
Rédigé par : JSF | dimanche 15 mai 2005 à 13:21
小倉さんが言う「複数の世論調査うち一つで」というのは、朝日新聞世論調査の中にある複数の項目の中の一つ・・・という意味ではなく、文字通り朝日や読売やNHKといった複数の世論調査の中で一つ・・・という意味で言いたかったのでしょう。
しかし、確かに誤読しやすいですね小倉さんの文章は。
Rédigé par : JSF | dimanche 15 mai 2005 à 13:14
ずっとROMってましたがコレだけはいわせてください。
朝日の世論調査を元に
>まず、「あなたがいま、政治家に取り組んでほしいテーマは何ですか。(二つまで選択)」について、
>「憲法改正」と答えたのはわずか7%。憲法改正論議に熱心な政治家の先生方と国民との温度差を感じます。
なのにJSFさんには
>複数の世論調査のうちの1つで9条2項改正論が多数を占めただけで、
>その数字を所与の前提としてしまうのはそもそもいかがなものかと思います。
そのままそっくりお返しいたします。
いったい前の段落で述べていたことは何なのですか???
一つの文章の中でどうしてこれだけ矛盾したことが書けるのですか???
Rédigé par : PIN | dimanche 15 mai 2005 à 13:10
>「変える方がよい」は36%、
>「変えない方がよい」が51%。
>憲法第9条改正論は、多くの国民に
>とって魅力的ではないようです。
それは「第1項の改正を含む9条の改正」という条件ですから。
解説
http://obiekt.seesaa.net/article/3453186.html
Rédigé par : JSF | dimanche 15 mai 2005 à 12:43
>自衛隊を普通の「軍隊」として位置づけ
>ることには賛同者が12%しかいません。
私も憲法に明記する必要は無いと思います。他国でも明記している所はあまり無いかと。『自衛“権”』を明記してくれればいい。
国防軍への改名は憲法とは関係無い所でしてしまえば良いんです。
そして集団的自衛権は自衛権の中に含まれますので。
■日経新聞5/3社説・春秋
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20050502MS3M0200C02052005.html
自衛権を憲法に明記すれば、集団的自衛権はその中に当然含まれており、あえて憲法に明記するまでもないというのは十分理解できる考え方である。
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という感じで。
Rédigé par : JSF | dimanche 15 mai 2005 à 12:36