今日は、憲法記念日です。
近年は、憲法記念日が近づくと、毎年のように憲法改正の是非が話題になります。私の元上司には改憲派もいたりするのですが、とはいえ、「あなたは憲法改正に賛成ですか、反対ですか」という問いかけに対しては、次のように答えようと思っています。
- 私は、今の日本国憲法は結構いい憲法だと思っており、積極的に改正しなければならないと思っている点はない。
- 私は、「なるほど、それはいい」と思えるような憲法改正私案に出会ったことがない。
少し解説をしますと、私自身を含む国民の大多数が賛成する法令が裁判所により違憲無効と判断されてしまった、あるいは、裁判所により違憲無効とされる可能性が高いために法案化されないという事態が生じた場合には、憲法改正の必要を感ずることになります。しかしながら、過去、裁判所により違憲無効とされた法令についていえば、積極的に残したいと思うものはありませんでしたし、「こういう法令があるといいな」と思うもののうち「憲法」という障害がなければ成立するのになあと思うようなものは今のところありません。したがって、私は、「今の憲法のここのところをこのように改正してほしい」と積極的に思うことはないのです。
私は、憲法改正論議についてのこのような態度を、既に公表されている憲法改正私案を評価するときにも一貫させます。すなわち、「そのような憲法改正を行うことにより初めて実現できること」がとても魅力的なことであると私に語りかけてくるような憲法私案を私は未だ見たことがないので、私はそれらの私案をいずれも高く評価していないのです。
憲法改正論者の中には、現行の日本国憲法が、60年間1回も改正されていないことや、GHQの若手官僚が短期間に起草した草案に基づいて制定されたことを問題視される方が多いようです。しかし、GHQの若手官僚が短期間に起草した草案に基づいて制定された現行日本国憲法よりも魅力的な憲法草案を60年間1回も提示してこられなかった我が身の不甲斐なさを反省すべきなのではないかと私は諭してあげたいくらいです。
>「60年間も憲法改正がなかった」最大の原因は、
>憲法改正論者が全面改正にこだわったことにあるわけですし
その主張は間違いです。昔は社会党(当時)などに代表される、憲法を絶対不可侵の聖典か何かと勘違いした人達が大手を振って歩いていました。彼らは憲法改正について、9条以外の改正でも「9条改正に繋がる!」として拒否し、“護憲派”として振舞っていました。最大の責任は彼らです。
結局、ドイツほどの緊張が日本には無かったから、憲法改正が遅れてしまいました。ドイツは冷戦時代、東西両陣営の最前線となり開戦即戦場となるような状況でしたから。
>「憲法第9条のみの改正」が実現するか否かを論ずる
>ことはそれほど意味があることではありません。
それは昨今の憲法問題の主題を無視するという事ですか?
肝心要の部分を無視されるのでしたら、題材にして語る意味がそれほどあるとは思えません。
>世論調査毎に数字がだいぶ違うようですね。
毎日新聞の数値は9条2項に対しての数値で、
中日新聞の数値は9条全てに対しての数値なのですから、
違っていて当たり前の話です。
Rédigé par : JSF | mercredi 04 mai 2005 à 04:28
憲法第9条の改正の是非については、世論調査毎に数字がだいぶ違うようですね。
ただ、改憲論者において、「憲法第9条のみの改正」を改正案として提出するのでない限り、「憲法第9条のみの改正」が実現するか否かを論ずることはそれほど意味があることではありません。
そもそも「60年間も憲法改正がなかった」最大の原因は、憲法改正論者が全面改正にこだわったことにあるわけですし。
Rédigé par : 小倉 | mercredi 04 mai 2005 à 01:46
1.国民の大多数が、今の日本国憲法は結構いい憲法だとは思っておらず、積極的に改正したほうがいいと思っている。
2. 国民の多くが「なるほど、それのほうがいい」と思う憲法改正私案がある。
となった場合に、先生個人のご意見は別にして、その国民の選択には不満は残りますか?
Rédigé par : wild56 | mardi 03 mai 2005 à 22:22
あ、すみません。打ちこみミスでした。
“「変更すべきだ」が58%で「変更すべきでない」は37%でした。”
でした。
私も結構驚いているんですが、意外とすんなりと憲法改正できちゃいそうで拍子抜けしてます。ただ、集団的安全保障権についてはまだ異論があるので、もはや焦点はそこに移っちゃってる感がありますよね。
Rédigé par : JSF | mardi 03 mai 2005 à 19:52
憲法改正について論じる場合、九条改正問題が焦点です。改正しようとする勢力の主目的はそれなのですから。
小倉弁護士、憲法改正問題について触れるなら、できればその点について語って頂きたいのですが・・・最初からスルーされるとは驚きです。
>国民の大多数が賛成する法令が裁判所により違憲無効と判断
>されてしまった、あるいは、裁判所により違憲無効とされる
>可能性が高いために法案化されないという事態
国民の大多数が「自衛隊は軍隊として認めるべき」と思った時、憲法は改正される事になります。国民投票をするのですから。
・9条改正48%、維持33%
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050503/mng_____sya_____000.shtml
これは最近の中日新聞の記事です。(中日新聞はリベラル色が強い)国民の中で九条改憲派が5割、九条護憲派が3割。
毎日新聞が先月行った調査でも、戦力不保持の九条2項については「変更すべきだ」が58%で「変更すべきでない」の37%でした。
どうやらこのまま行くと憲法九条は改正され、自衛隊は国防軍と改名する事になると思われます。
Rédigé par : JSF | mardi 03 mai 2005 à 19:47