もう1度現行プロバイダ責任制限法の問題点を振り返ってみましょう。
1つは、ISP等の特定電気通信役務提供者の保護が弱すぎることです。
それはさらに、
刑事責任や差止め請求には適用がないということ(しかも、判例は、特定電気通信役務提供者が具体的な権利侵害情報を認識していなくとも有罪判決や差止命令を下してしまっています)、
自動公衆送信の主体とみなされてしまうと損害賠償責任も免責されない、
ということに分解することができます。
もう1つは、発信者情報開示請求の要件が厳しすぎるため、匿名発言による被害者から裁判を受ける権利を事実上奪っているということです。
また、公開プロクシーやTor等により、IPアドレスとアクセス日時から発信者を特定するという仕組みが時代遅れになりつつある以上、掲示板サービスやブログサービスの提供者などに発信者の個人情報を把握させなければ、発信者情報の開示を適切に受けて裁判による救済を受ける機会を被害者から奪うことになります。
このように、匿名発信者、特定電気通信役務提供者、被害者と並べたときに、現行法は、匿名発信者を必要以上に手厚く保護してしまったため、そのしわ寄せを特定電気通信役務提供者と被害者に加えてしまっています。
それは、情報通信技術の新たな発展を阻害するという側面を有するとともに(P2Pを支援してきた私と苫米地博士がともに実名派であることはおそらく偶然ではないでしょう。ファイルローグ事件地裁判決以降、我が国でP2Pファイル共有を実現するには、発信者のトレーサビリティを高めるシステムを組み入れることはもはや不可欠ですから。)、匿名発信者による誹謗中傷やつきまといに対して法が無力であるため、現実空間では問題なく許される発言が無責任な私人による言論弾圧にあってしまうという事態を生じさせています。
「現実空間では言えないことをネット空間では自由に言える(そのことによる責任を取らなくともよい)」ということを積極的に肯定する方もおられるようですが、それは、発言者が本来取るべき責任を取らない分のしわ寄せを被害者または特定電気通信役務提供者に加えることを積極的に肯定する議論でもあります。私はそのことを正当化する倫理があることを残念ながら知りません。
私の目指すところは、ある発言をネット上で行った者は、その発言を現実社会で行った場合と同様の責任をとる社会です。発言者がその発言に対する責任を自らとることにより、被害者が泣き寝入りをすることを防止することができますし、そうであればこそ、被害者が発言者に責任追及できない分特定電気通信役務提供者に責任追及することを制限することができます。
そのために、発信者情報を把握し適宜被害者に開示する義務を特定電気通信役務提供者に負わせるとともに、この義務を履行した特定電気通信役務提供者には、具体的な権利侵害情報の流通を媒介していることを知りながらあえて放置していた場合を除いて、刑事責任等についてまで免責する(逆にこれらの義務を履行せず、匿名発信者に無責任に違法行為を行う機会を与えた特定電気通信役務提供者には、一種の幇助責任ないし間接侵害責任を負わせる)とするわけです。そして、正確な発信者情報を収集し把握することが事実上困難な特定電気通信役務提供者を救済するために、システムに共通IDを組み入れることで、発信者情報の収集・把握という作業をアウトソーシングできるようにしようということです。
また、手続き的には、電磁的記録の文言を見て判断できる問題については、通常の訴訟手続きではなく、電磁的記録のやりとりだけで判断を下せるADRを活用できるようにしょうというものです。その上で、判断基準としては、訴訟救助により裁判を受ける権利を実質的に保護してもらうことができることができる場合には、発信者情報開示により裁判を受ける権利を実質的に保護してもらうに値するはずですので、「勝訴の見込みがないとはいえない」ことが疎明されれば発信者情報の開示を受けられるようにしようというものです。その程度の判断であれば、当該発言の内容を吟味することで可能ですから、上記ADRに乗せていくことが可能です。また、メールアドレスを適切に明示する等オンライン上で容易に連絡が付く発信者との関係では、ADR手続きの中で、仮名のまま反論をすることを可能とするシステムを採用することも可能です。そうしておけば、文面上名誉毀損等にあたらないことが明らかな場合等に発信者情報が開示されることを防ぐことができます。
>私は企業人として日本の個人情報保護法の規制に十分耐えられるものでなければ欠陥商品だと思っていますので、ご安心ください。
それは良かったです。
どうせなら見て意味のある、為のあるものがいいですからね。
ってコレは失礼な物言いですね。裏の意図は無いので勘弁してください。
単にプライバシーの考慮の無いシステムに対する忌避だと思っていただければ。
#個人的には土日48時間ぶっ続けでガリゴリやって、投げ出したポイントも気になるかなぁ…。
いや、真面目に考えても世界レベルで条約でも結ぶとか、インターネットをイチから作り直すとか(hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050701304.html)そんなレベルに~
Rédigé par : サスケット | mardi 05 juillet 2005 à 00:16
サスケット様>
>できれば、プライバシーとかは常識的な範囲で考慮してほしいなぁと。
私は企業人として日本の個人情報保護法の規制に十分耐えられるものでなければ欠陥商品だと思っていますので、ご安心ください。むしろコストダウンとマーティングの観点から米国にも売り込みたいので(商売人ですねw),米国連邦法(連邦プライバシー法)と判例をクリアすることも最低の条件だと思ってます。
>小倉先生はいらないって言うかもしれないんですけど、出来れば、出来れば。
確かに小倉先生は弁護士とは思えないほどプライバシー保護には無頓着同等の冷淡さですね。
ただ、不肖私目が作成するときは日米の法適合性を最低条件としていますから、これも同様にしたいと思います。
むしろ一番の問題は、J2さんもサスケットさんも看破されたとおり、コスト問題以前に、技術的な適合性が問題です。ことに共通IDのシステム設計と現行RFCとの適合性が問題でして、ご存知のとおり、RFCはいわばインターネットの仕様書や最低基準アルゴリズムのようなものですから、技術的スペックレベルでコケそうで、これがボトルネックになっています。
ですが「出来ない」と言われると何とかモノにしてやれないか?と頑張っちゃう天邪鬼が私の性分なので、もう少し頭の体操と割り切ってチャレンジしてみます。
なお、共通ID構想は、ウチの技術レベルのトップが一笑に付して相手にせず(「また出たか」と言ってました)、ナンバーツーがビジネス特許目当てにプライベートの土日48時間ぶっ続けでガリゴリやって、「やっぱりできない。」とサジを投げてしまいました。
Rédigé par : FR@移動中 | lundi 04 juillet 2005 à 00:50
>こちらでギリギリまでコストカットしたものを作ってみることにします。
できれば、プライバシーとかは常識的な範囲で考慮してほしいなぁと。
小倉先生はいらないって言うかもしれないんですけど、出来れば、出来れば。
Rédigé par : サスケット@左寄せ | dimanche 03 juillet 2005 à 23:56
オオボケやらかしました。
直前の「FC@出張先」
Rédigé par: FC@出張先 | juillet 3, 2005 01:25 AM
は「FR@主張先」の誤記です。
お詫びして訂正いたします。
さて、小倉先生から、簡易なアルゴリズムもフローチャートの草案も、ご呈示がないですから、こちらでギリギリまでコストカットしたものを作ってみることにします。
Rédigé par : FR@出張先 | dimanche 03 juillet 2005 à 02:07
>小倉先生
>J2さま
ラストワンマイル問題は、J2さんご指摘のとおり、語源は、終端機器接続など端末(末端)回線が細いためにボトルネックとなり基幹回線を幾ら太くしても全体としてトラヒックの実行速度が上がらない問題を言ってました。
これが転じて、供給ルートの最終接続回線(接続点)の問題全般を指すようになり、たとえば、援助物資などが基幹ルートの途中で横取りされないように、最後に住民に手渡しされたかどうかを確認する問題などをも指すようになりました。
さらに転じて、サイバー犯罪のIPトレーシング(トレースバック)で犯行に使われたパソコンに行き着いても、そのパソコンと犯人とのコネクション(結び付き)が一番問題であるため、米国各警察組織(法執行機関)で、この最後のコネクションの問題をラストワンマイル問題と呼ぶようになり、この意味での言葉使いが日本に輸入されました。
ネットの世界でのラストワンマイル問題は、技術的には生体認証でほぼ確実なレベルで個人の特定が可能です。しかし、認証規格の統一問題はさておいても、生体認証機器の設置というコストアップを伴う技術面での解決ですから、早急な現実解ではないと判断してます。
そこで、犯行に使用されたパソコンの管理者に法的管理責任を負わせればいいと思います。幸い日本の民事法では、民法715条の使用者責任という規定がありますから、「パソコンを管理する者(又は法人)が社員や友人に貸与して、貸与を受けた者が名誉毀損などの不法行為をした場合、軽率な管理で無断使用者が同様の不法行為をした場合には、管理者も管理責任(損害賠償責任)を負う、ただし十分な管理をして防げなかった場合や実際に不法行為をした者が損害賠償をした場合は免責される。」とすれば現実解だと思います。
このように、サイバー犯罪レベルでのラストワンマイル問題は、パソコンの管理者に使用者責任同様の法的責任を負担させることで、被害者救済を図れると思います。この解釈のメリットは、複数以上いる社員や家族の誰が実際の「匿名の卑怯者」か特定できなくても、被害者はパソコンの管理者(これはISPの個人情報から特定が比較的容易)から損害賠償を受けられるので被害者救済に資する点です。
ただ、デメリットとして、実際の犯人の住所氏名を特定して暴いた実名をネットに曝して報復したいという方には使い勝手が悪いと思います。
Rédigé par : FC@出張先 | dimanche 03 juillet 2005 à 01:25
ちょっとコメンターの方々にも誤解があるようなのでそこだけ指摘しておきますね。
皆さんが「ラストワンマイル問題と読んでいる」端末までは特定できてもそこから先のオフライン捜査が必要(という解釈でいいのかな?)を解決する為に、「認証」という手段があります。
キャッシュカードはどこのCDで使っても「暗証番号」で認証することによって「本人」だと一応判断するわけです。
同じように何らかの認証フェーズを例えばコメント書き込み前に挿入することによって「本人」であると判断する事は完璧ではないにしても、「あり」でしょう。
ちなみにラストワンマイル問題って昔は基幹回線速度に対するアクセス回線速度の遅さがネット普及を阻害しているという意味で使われていたんですが、最近は使われ方が変わったんですかね?
まあ、FTTHやADSLが普及した今となってはどのみち昔話なんですが。
Rédigé par : J2 | samedi 02 juillet 2005 à 17:42
たとえば今の私はサウナのサービスルームでここを見てるです。ですから小倉士のいう法では、サウナまではトレーサビリティできるでしょう。しかしその先はどうしますか?
私はだれでしょう??
それともPC房をすべて廃業にする?暴動おきますよ?店主と利用者と?それともPC房使うのにパスポート見せる?
無理。
ラスト1マイルとはそいうことですね。
それがあなたの発想の限界よ。
Rédigé par : aiai | samedi 02 juillet 2005 à 17:03
小倉先生。私は他コメント(自分のをもちろん含む)と比べてみて、もっとも先生のご主張される共通IDの社会的な実現に、一歩近づいた現実的提案をしてみました。
もしかして。「傾聴に値する意見」とのご評価を賜ることは可能でございますでしょうか?
Rédigé par : 中井亀之助 | samedi 02 juillet 2005 à 09:00
視点を変えて。
実名でなければ困るものに「会社」があります。たとえばフィッシング詐欺は社会の全員が困ってしまう犯罪です。企業は、住所そのほかの実存が一意でなれば、即、犯罪につながります。
同様に個人も、もし定額料金を払う義務があれば、どこかで実名登録・確認が必要となります。またその場合、本人確認のコストを負担することがある程度可能になります。(これをどこまで公表するか、という問題はあるにせよ)
問題?はサービスが「無料」の場合です。たとえばブログ。たとえば掲示板。本人確認をするコストがどこからも出ません。
その場合、解決策のひとつは、掲示板やブログを限定・規制してしまうことです。(ようするに取り締まる)
1)たとえば、料金徴収を行うアクセス・プロバイダー以外は掲示板やブログを開いてはいけない。(ニフティやソネット、OCNはやってもいいが、ヤフーやライブドア、2ちゃんは駄目)
2)さらに、物理レベルの把握が可能な電話事業者以外はアクセスプロバイダーをやってはいけない。(NTT、KDDI,日本テレコムはやってもいいが、それ以外はだめとか)
3)さらにその事業者から「本人確認税」を徴収して、匿名犯罪に対する捜査機関を作る(総務省・警察省合同ネット犯罪取締課?)といった規制をかけていくことが、考えられます。
ようするに「ある本人がアクセス可能な端末一覧」を国が管理し、「それ以外の非合法アクセスを犯罪化」すれば、「匿名による名誉毀損などの犯罪防止」は相当進むと思います。これがおそらく、共通IDの法社会的な実現です。
(現実にこうした政策をとっている国家が、日本のすぐ近くにあります)
Rédigé par : 中井亀之助 | vendredi 01 juillet 2005 à 00:49
視点を変えて。
実名でなければ困るものに「会社」があります。たとえばフィッシング詐欺は社会の全員が困ってしまう犯罪です。企業は、住所そのほかの実存が一意でなれば、即、犯罪につながります。
同様に個人も、もし定額料金を払う義務があれば、どこかで実名登録・確認が必要となります。またその場合、本人確認のコストを負担することがある程度可能になります。(これをどこまで公表するか、という問題はあるにせよ)
問題?はサービスが「無料」の場合です。たとえばブログ。たとえば掲示板。本人確認をするコストがどこからも出ません。
その場合、解決策のひとつは、掲示板やブログを限定・規制してしまうことです。(ようするに取り締まる)
1)たとえば、料金徴収を行うアクセス・プロバイダー以外は掲示板やブログを開いてはいけない。(ニフティやソネット、OCNはやってもいいが、ヤフーやライブドア、2ちゃんは駄目)
2)さらに、物理レベルの把握が可能な電話事業者以外はアクセスプロバイダーをやってはいけない。(NTT、KDDI,日本テレコムはやってもいいが、それ以外はだめとか)
3)さらにその事業者から「本人確認税」を徴収して、匿名犯罪に対する捜査機関を作る(総務省・警察省合同ネット犯罪取締課?)といった規制をかけていくことが、考えられます。
ようするに「ある本人がアクセス可能な端末一覧」を国が管理し、「それ以外の非合法アクセスを犯罪化」すれば、「匿名による名誉毀損などの犯罪防止」は相当進むと思います。これがおそらく、共通IDの法社会的な実現です。
(現実にこうした政策をとっている国家が、日本のすぐ近くにあります)
Rédigé par : 中井亀之助 | vendredi 01 juillet 2005 à 00:48
>Rédigé par: 平田 | juin 28, 2005 11:20 PM
において貴方の結論的な見解としてまとめを書いてみたんですが、間違っているという指摘がないようなのでこれ以降貴方はそのような見解を持っているとして進めさせていただいてよろしいでしょうか?
というのも、
>Rédigé par: 小倉秀夫 | juin 28, 2005 08:55 AM
において貴方は、自分の意見が認められたという趣旨の発言をして、その後、プロバイダが何もしないから法律でやるしかないと締めているような気がしたからです。そこで、私は貴方のつもりになってまとめとしての見解を書いてみたのですが正しいと考えていると思っていいでしょうか?貴方の考えと違う点があったら指摘してください。
Rédigé par : 平田 | jeudi 30 juin 2005 à 23:45
>小倉先生
--------------
ラストワンマイル問題はどうしますか?
<1台パソコンの複数人使用:たとえば、ネットカフェ
<複数台パソコンの一人使用:たとえば、某大手電気メーカ(国内国外を問わず出張先では出張先のルータに接続
これだと共通IDでは個人を特定できないのではありませんか?
名前: もう一人の通り過ぎ | June 29, 2005 10:34 AM
--------------
と質問したら
--------------
「ラストワンマイル問題」は、むしろ、「アクセス日時+IPアドレス→アクセスプロバイダへの照会」方式の方が深刻だと思いますが。
名前: 小倉秀夫 | June 29, 2005 10:58 AM
--------------
という返事でした。これは
--------------
どちらが深刻かを訊いているのではなく、どう解決するかを訊いているのすらわかりませんか?
名前: 三人目の通り過ぎ | June 29, 2005 11:06 AM
--------------
と私も思いました。そこであらためて
--------------
>小倉先生
(略)
刑事捜査の現場では、むしろ「アクセス日時+IPアドレス→アクセスプロバイダへの照会」の方が簡単で、それよりも「ラストワンマイル問題」には膨大な人員を投入して現実社会の足で稼ぐ調査の積み重ね(張り込み、多数取り調べ)が必要で、もっと大変で深刻な問題だってことは、TVドラマにすらなっていて、私ら素人だって分かっているんですよ。そんな漫画だって出版されていますよ。
再度の正しい「解答」を要求します。
--------------
と書いてしまいましたが、要求などは大げさで大変失礼しました。ごめんなさいね。
そこであらためて、IT弁護士小倉先生にお尋ねします。
「前記ラストワンマイル問題で個人を特定する方法はどのようなシステムをお考えですか?」
PS:無益なので福田氏の横レス無用とします!
Rédigé par : ラストワン | jeudi 30 juin 2005 à 13:28
>小倉先生(追加情報)
先生は、かって同一IPアドレス(リモートホストネーム)だけを理由として、複数のコメンテータであるのにこれを一人の「自作自演」と決めつける間違いを犯しました。
そして、そろそろ私の投稿IPアドレスをチェックして「多作1演」と疑っているころだと思います。「FR」名義の投稿なのにIPアドレスがころころかわっているから、先生なら「複数の臆病者が一人のFRなる卑怯者を演じている」と決めつけてもおかしくはないからです。
しかし、私のように各国を移動してそこのISPやルータごとにノートパソコンの接続を切り換えれば、そういうIPアドレスやリモートホストネームが次々に変異する経過がログに記録されるはずです。
このような場合にも、共通IDで本人を特定できるフローチャートかアルゴリズムの草案をお願いします。
また、移動先ごとにそこのパソコンを使う場合、たとえばスペインではスペイン法人のパソコン、メキシコではメキシコ支社のパソコン、フランスでは合弁会社のパソコンなどを使用した場合も、共通IDで本人を特定できるシステム設計をよろしくお願いします。
法適合性の判断は、このシステム設計ができてからにしたいと思います。ウチの法務部長が小倉先生の共通IDによるトレーシングの強化に関する見解に絶大なる興味を示して、新人教育のために、ビジネスモデルの法適合性判定テストのケーススタディーとして検討をはじめたみたいです。
Rédigé par : FR | mercredi 29 juin 2005 à 09:41
>中井亀之助さん
>平田さん?
>>1の(匿名の他人による誹謗中傷や名誉毀損)加害者になりえないような場合は匿名であることは問題にはしていないし、発言の自由は保障されるべきである。
>このことは民主主義国家においてきわめて重要なことですが、この重要度について先生は、私が知る限り、いままで一言も言及していません。あなたが勝手に忖度しているだけだと思います。
間違いなく今までの平田です。私としては弁護士としては言及するまでもない(むしろ、言及することを憚れる)ことだということで無視しているという意味で、逆にそう思っていると考えました。
ただ、私としては今一度過去のエントリ、コメントなどを読み返してみたところ前記コメントのような感想を持ってしまったのには驚きました。まるで小倉さんの生霊が私に憑依して書かせたような気さえします。ぜひ、小倉さんに私の見解(juin 28, 2005 11:20 PM)と彼のものと違う点について指摘して頂きたいと思います。
Rédigé par : 平田 | mercredi 29 juin 2005 à 02:14
(すいません、irose | juin 29, 2005 01:39 AM
に追加訂正)
ていうか、本当に「当初」の話で言えば、NHK朝日問題絡みのしがない記者の件(「匿名暴き←民主主義の敵」)なんですよね・・もう何が何やら。
Rédigé par : irose | mercredi 29 juin 2005 à 01:45
・・・当初(このエントリの源流となる話題、それこそHWJ時代の『コメントスクラム』のエントリのあたり)は「匿名による卑怯な攻撃」の話だったのに、いつの間にか「名誉毀損」まで狭義になってるなあ、と思うのです。
まあいつの間にかというか、「理詰めは 攻撃/迷惑/問題/誹謗中傷 に含まれますか?」という質問を6回ほど無視してる間に、なんですけど。 未だに小倉氏の見解において「理詰めが攻撃に相当する」のかどうかがわからない。
そりゃ「泣き寝入るような名誉毀損」は救済しないといけないだろうけどさ。 「泣き寝入るような理詰め」は救済必要・・・ないよなあ。 しかも立法してまで。
つーか大体、「泣き寝入るような名誉毀損」なんて話題、どこから出始めたんだろう??
Rédigé par : irose | mercredi 29 juin 2005 à 01:39
>>1の(匿名の他人による誹謗中傷や名誉毀損)加害者になりえないような場合は匿名であることは問題にはしていないし、発言の自由は保障されるべきである。
>このことは民主主義国家においてきわめて重要なことですが、この重要度について先生は、私が知る限り、いままで一言も言及していません。
いや、「断言」までは行かないですが、ある程度は言及していたと思いますよ。
一例をあげておきます。
>http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/2cdde17365f2ff70e71f374756f8c734
>自らを公然と批判する者がどこの誰であるのかを──それが正当な批判であれ、不当な批判であれ、批判の名を借りた単なる個人攻撃であれ──知りたいと思うのは、「しがない記者」氏の個人情報を暴いた人々の弁明にもあるとおり、自然な感情であるとは思います
正当な批判者が加害者なわけは無いですし。
しかし、役に立つ、望ましい、のレベルですから「(匿名の正当な批判者も)問題にする」ところまでは行かないようですね。
嗜好レベルの話かもしれませんので、どこまで参考にしていいのか迷うところですが。
#(余談)
#もっとも、正当な(誹謗中傷や名誉毀損の加害者でない)人間の個人情報を公開することが望ましいとはちっとも思っていないので、当時はいくつも反対意見を書いてたものです。
Rédigé par : サスケット | mercredi 29 juin 2005 à 01:29
平田さん?
>1の(匿名の他人による誹謗中傷や名誉毀損)加害者になりえないような場合は匿名であることは問題にはしていないし、発言の自由は保障されるべきである。
このことは民主主義国家においてきわめて重要なことですが、この重要度について先生は、私が知る限り、いままで一言も言及していません。あなたが勝手に忖度しているだけだと思います。
(そのことがある程度、本人確認が可能な私が、危険や損をかえりみず、こうして打って出ざるを得ない原因ですが。もしそうでない事象がありますなら、ご指摘をお願いしたいと存じます。)
>内部告発などについても俗に言う怪文書というものがFAXで発信されたりしているわけだし、他にいくらでも方法があるのだ。にもかかわらず、悪用することが容易であるネット上
において匿名をことさら重要視する必要などないと主張しているにすぎない。
それがまさしく大きな問題です。ネット上で問題であるとなれば、からなず次にはFAXや電話でも「怪文書」が法的な問題になることでしょう。それが法律というものだからです。
たとえば・・・「複数者が聴取可能なIP電話」等はどうなりますか?つまり。これらはすぐに、通信・放送の当面の自由にかかわる大問題となります。
Rédigé par : 中井亀之助 | mercredi 29 juin 2005 à 01:11
うーん、J2さんの「juin 28, 2005 10:13 AM」発言で私の反論したいことが全て出ているなぁ。
まあ、同じ意見で今までも言っていますよという主張を込めて。
>そのためのコストは、コメンテーターさんが大げさにあげつらうよりは大幅に安く上がるでしょう。施行期間内にそのシステムを開発できなければならないというプレッシャーのもとで、日本の民間部門はそれなりに現実解を見つけるものです。
その現実解に、非現実的な「安直な個人情報公開」や「共通ID」を持ってくるのではなく、「トレースは可能だけどプライバシーは守れる」と言った現実的な案はないものか?ということでですね。
で、100%完璧にというと、確かに難しいんですが、その難しさは共通IDでも変わらない。
その上で現実解を見つけようとしたら、できるところからこつこつと――「いまからできるいんたーねっとにゅうもん」とかテケトーな名前をつけたそれ――あたりからでも頑張っていきたいですねー。
だって確かに民間は民間なんですケド、プロバイダ責任制限法の下で守られて、被害者の犠牲を放置してきた人の中には掲示板管理者とかの一般人を含むかも知れないわけで。
彼等にコストとかなんだとか言われても…世の中企業だけだったら楽でいいんですケドね。(いや個人でも排除していいならそれで終わりなんですが。)
という現実的過ぎて面白味のない結論にー。
J2さんの書いてることとあまり変えられませんでした、ごめんなさい。
しかし、前も(juin 22, 2005 11:47 PM)述べましたけど、
>現状では、プロバイダ責任制限法の下で守られていたからこそ、被害者の犠牲のもと、プロバイダ等は誹謗中傷抑制策を講ずることなく放置していただけなのですから。
小倉先生のプロバイダ責任制限法改正案って、プロバイダ責任を制限しない方向なんですねー。
むしろ掲示板管理者とかの一般人を含むプロバイダに、責任を免除するために「やるべきこと」をわかりやすく間違いなく設定するほうに改正して欲しいとか思ってましたがー。
>sakimiさん
>それよりもネット上で被害を受けないようにするための教育を図ったほうがコスト的なメリットが大きいはずです。
いやいや、これは小倉先生の意見がどうとか、コストメリットとかじゃなくやって欲しいところですね。
著作権のちょの字も知らない人間が多すぎです。いや大人でもそうなんですケドね。
で、その教育のなかに「自分の情報をやたらとWebページ上に載せてはいけないのね。」なんて言葉が出てきてるあたり面白い世の中です。(総務省発言を受けて)
Rédigé par : サスケット | mercredi 29 juin 2005 à 01:10
今日は、第三者として客観的に小倉氏の意見を整理してみようと思う。というのもたとえ現役弁護士の意見とはいえ、いちブログに対してこれほどの反対、批判(含む誹謗中傷)が書かれるのは氏の意見が世間に受け入れられたら困る人たちがいるからではないか。そして受
け入れられる可能性もゼロではないと思っているからこそブログ上で済むうちに叩いておこうという思惑が働いている可能性も捨てきれないのではないかと思ったからである。(私は法律はよく判らないので用語や説明が素人なのはご了承ください)
私が思うに、まず、彼の意見の根底(土台)にあるのは以下の2点である。
1.匿名の他人による誹謗中傷や名誉毀損にあたる被害を受けた人間は必ず救済されるべきである。
2.1の加害者になりえないような場合は匿名であることは問題にはしていないし、発言の自由は保障されるべきである。
1は彼が常に主張していることでありコメンテーターにも反対者はいないと思われる(注1)。
2は(彼は特に明言していない)言葉の中から私が補完してしまったものだが多分間違いではないように思う。多分、常識的に特に明言する必要を感じていないからだと思われるが、これが多くの人に誤解を生じさせているといっても過言ではない。
この2点から彼の主張を私なりに噛み砕いてみると、彼は匿名全てを問題視しているわけでは当然なくネット上において匿名は「百害あって一利無し」であるから、あくまでも「ネット上」での匿名についてはかなり制限されてしかるべきだといっているだけである。実際、匿
名の発言などネットがない太古の昔からあるわけであるし、なにもネット上で行う必要などない。内部告発などについても俗に言う怪文書というものがFAXで発信されたりしているわけだし、他にいくらでも方法があるのだ。にもかかわらず、悪用することが容易であるネット上
において匿名をことさら重要視する必要などないと主張しているにすぎない。これは至極当然の意見であるし、特に彼だけの特別な意見というわけでもなく昔から広く議論されていたことに他ならない。
次に、彼はその実現方法について「共通ID」埋め込み方というものを提案する。これについてはコメンテーターから技術的にもコスト的にも不可能であるという反論がなされる。しかし、技術は日々進歩しているものであり、コストもそれに伴って下がるのは自明であるから将来的には間違いなく可能となるであろう。ゆえにこの反論は彼の主張を否定する論拠にはなりえない。現時点で不可能であってもそうすることが不可欠であるならば検討しておくべきであるし、理論的に可能であるならば将来の人々に明るい未来を示しておくことは必要であるからだ。さらに、技術、コスト面についてだけしか反論がなされなかったことは逆説的に言えば彼の根底の意見(上記1,2)は認められたといっても言い過ぎとはいえないだろう。
結論として、冷静に考えてみると彼の意見を否定するものは何もないということが分かる。つまり、「ネット上」においては完全匿名を許すべきではなく、たとえハンドル(仮名)を使用したとしても自由の名の下にある責任との強い紐付けは有ってしかるべきである。
と、改めて考えるとこのように思ったのですが、私はどこか間違っているでしょうか?
注1)ただ、彼の分析によると方法論などの彼の後の諸説に反対している人たちはこの1に反対しているからだということのようでもある、この「中には誹謗中傷したいがために反対している人」という妄想に関しては「中の人などいない!」というこに自ら気づいてもらうしか他に方法はない
Rédigé par : 平田 | mardi 28 juin 2005 à 23:20
>ツラウ安芸さん
言いたい気持ちはわからないでもないですけど、この程度の失礼を気にしていたら小倉先生と議論を深めることはできませんので、大人気ない記載はパスしましょう。スルーすることこそ大人の対応です。コメントの流れが明後日の方向に流れて論点がウヤムヤになってもいけないですし。
Rédigé par : FR | mardi 28 juin 2005 à 17:31
> そのためのコストは、コメンテーターさんが大げさにあげつらうよりは……
皆さんがシステム検討や数字まで出して真剣に議論しているのに、当のブログ主が「大げさにあげつらう」なんてこんな失礼な物言いするのはどうかと思います。
Rédigé par : ツラウ安芸 | mardi 28 juin 2005 à 16:10
> そのためのコストは、コメンテーターさんが大げさにあげつらうよりは大幅に安く上がるでしょう。
どれくらい安く上がるか金額を明示してください。
できれば算定根拠もお願いします(多分できないでしょうけど)。それがなければ抽象的な空理空論に過ぎません。
>施行期間内にそのシステムを開発できなければならないというプレッシャーのもとで、日本の民間部門はそれなりに現実解を見つけるものです。
その具体的な根拠理由を明示してください。
「それなりに」なんていいかげんな文言ではとても実業界ではお相手できません。IT弁護士としてIT技術上の問題点を踏まえてお答えください。具体的にどのようなシステム開発を考えているのですか?アルゴリズムやフローチャートレベルの素案で結構ですから私見を明示されてください。そうすればウチの若い技術者にコスト見積もりをお手伝いさせることにやぶさかではありません(費用は私のポケットマネーで負担します)。
Rédigé par : FR | mardi 28 juin 2005 à 10:46
>現状では、プロバイダ責任制限法の下で守られていたからこそ、被害者の犠牲のもと、プロバイダ等は誹謗中傷抑制策を講ずることなく放置していただけなのですから。
小倉先生なら詳しいと思うのでお聞きしますが、日本でインターネットが普及して10年になりますが、インターネット利用者数の増加とネットによる被害を受けた人間の増加数がグラフ化されたような資料は存在するのでしょうか?
それが無いと被害者が増えたと言っても、どれくらい増えた判りません。ソースがあれば示して戴けますか?
指数関数的に増えているのであれば、トレーサビリティを高める為に高コストであっても仕方ないと思いますが。比率がさして変わらないのであれば、私は現状のままで構わないと思います。
それよりもネット上で被害を受けないようにするための教育を図ったほうがコスト的なメリットが大きいはずです。
Rédigé par : sakimi | mardi 28 juin 2005 à 10:36
小倉さん>
私やサスケットさんの言わんとしている事を正しく汲み取ってください。
>そのためのコストは、コメンテーターさんが大げさにあげつらうよりは大幅に安く上がるでしょう。施行期間内にそのシステムを開発できなければならないというプレッシャーのもとで、日本の民間部門はそれなりに現実解を見つけるものです。
おっしゃるとおりなんですよ。まさにそのとおり。
そして、その現実解、つまりトレーサビリティを高める現実解は「共通ID」じゃないですよ、という事を言ってるわけです。これだけは自信をもって断言できます。
小倉さんが普段の主張を包み隠さずGLOCOMのようなところで取り上げれば、各パネラーの方々との議論の中で小倉さんも痛感するでしょう。
携帯電話のサブスクライバーIDでさえ「問題あり」と考える高木浩光氏のような方がメンバーにいるわけですから。
現状でも、PPP(oE)の認証過程でプロバイダーレベルでは(認証ログが残っている前提で)個人とIPアドレスの紐付けは確実にできているわけです。だから「アプリケーション」のログがプロバイダーの割り当てアドレスと食い違うパターン(プロ串や海外サーバを中継するアクセス)を必要に応じて回避・シャットアウトする事が一番確実なトレーサビリティの確保策です。
サスケットさんのいう、
>ということでまずは、アクセスログの取得と、それでたりなければ海外サーバからのアクセスを弾き、プロクシを禁止し、あるいはコメントそのものを閉じてみるとか言う、「いまからできるいんたーねっとにゅうもん」的方向でどうか、と。
という言葉に真理が。
Rédigé par : J2 | mardi 28 juin 2005 à 10:13