「マンガ嫌韓流」は、少なくとも出版社的には、もともと嫌韓な人たちにその意に沿ったコンテンツを提供するというニッチ市場(論壇系ではなかったわけではないけれども、コミックとしては手つかずだった(小林よしのりさんはちょっと違うし。)。)を狙ったものであり、実際20〜30万部売れたのであればその狙いはあたったと見ることができるでしょう。晋遊社のその他の出版物を見る限り、出版社として特に政治的な意図があったと見ることは難しいように思います。
広告戦略的には、「既存のメディアから抑圧されている」感を全面的に押し出すことによって、「私たちはいままでメディアにだまされてきたけど、ネットのおかげで目覚めたのよ」感を強く抱いている層(嫌韓な方々はこの層に含まれている人が多いように思います。)に強く訴求することができたというのは大きいように思います。
例えば、いくつかの出版社に持ち込んで断られたということが宣伝文句として用いられていましたが、山野車輪氏は、ネット上で作品を発表していただけでプロの漫画家としての実績があったわけではないのですから、いきなり作品を持ち込んで単行本として出版してほしいと出版社に駆け込んでも、普通はほとんど断られるわけです(小林よしのりさんの場合、「東大一直線」や「おぼっちゃまくん」などでプロの漫画家として相当の実績を有していましたが、それでも、「ゴーマニズム宣言」は当初は雑誌連載から始まっているのです。)。また、広告掲載を新聞社に拒否されたという点については、内容が問題視されたのか、広告料の問題で折り合いが付かなかったのか、出版社が新聞社とパイプをもっていなかったのかが不明です(朝日・毎日・日経のみならず讀賣や産経からも断られたというのであれば、内容が問題視されたからってわけではない可能性が高いと思うのですが。)から、これらの新聞社から広告掲載を拒まれたことをもって「既存のメディアから抑圧されている」と信ずるのは早計である気がします(むしろ、この漫画が主要な購読層として想定している「元々嫌韓な人」が主としてネットから情報を取得しており、新聞の書籍広告欄から書籍情報を入手して購読することは非常に少ないと認識していたならば、朝日新聞社等とから広告掲載を断られるようにあえて行動することも、効果的な広告手段ではないかと思います。実際のところは分かりませんが。)。
また、これは晋遊社側で積極的に流した話ではないかもしれませんが、Asahi.comのAmazon書籍売上げランキングから当初「マンガ嫌韓流」がはずれていた点については、コミックを除外していたからだという理由付けはそれなりに説得力があります(以前からコミックを除外することとしたかどうかは、過去にAmazonでコミックが上位にランクインされたときにAsahi.comがそれをどう取り扱っていたかを調べれば分かりますね。)。ネット上では「新ゴーマニズム宣言靖國論」がAsahi.comでランクインされていたことを重視する意見が散見されるようですが、オピニオン漫画としての地位を既に確立している「新ゴーマニズム宣言」がむしろ特別扱いされている可能性もあることを十分に考慮すべきでしょう。
そういう意味では、「私たちはいままでメディアにだまされてきたけど、ネットのおかげで目覚めたのよ」感を強く抱いている人々のメディア・リタラシーの程度、及び、そのような方々の「繋がり」情報ネットワークの速度・強度をよく把握した上での広告戦略だなあと、そのあたりは素直に感心したりします(「流行」というのはほとんどの場合意図的に作り出すものであって自然発生するものではないことはよく知られていることですし(その意味では、「韓流ブーム」だけ特に「作られたもの」であると強調する方々には「なんだかなあ」感を強くもってしまいます。)、ある種の人々のネガティブな感情を満足させるグッズを提供するというのはニッチ商売ではある種の基本ですから、そういう意味では基本に忠実とはいえるのですが。)。
>JSFさま
ネットで筆名や“実名”で活躍して(あるいは出張先で物議をかもして)注目を集めているからといって、リアル社会で実力者として評価されているとは限らないわけで。ネットは誰でも出れる「一人一台街宣車」((c)某コンピュータ工学系弁護士)というお手軽ベンリな道具ですから。
その逆に、匿名やコテハンなら、最初からネットだけの活躍と割り切ってリアル社会の名声を求めていないし、別にリアル社会の活動をネットで宣伝したりしないし、当然、その逆もしないのと好対照です。
Rédigé par : イッパンジン | lundi 12 septembre 2005 à 23:03
>ネット上で作品を発表していただけでプロの漫画家としての
>実績があったわけではないのですから
「あふがにすタン」を思い出してしまった・・・最近、ネット上での活動からいきなり商業デビューする新人が増えてるんでしょうか。
Rédigé par : JSF | lundi 12 septembre 2005 à 22:37
小倉先生は
「私たちはいままでメディアにだまされてきたけど、ネットのおかげで目覚めたのよ」
と書いてますけど、このエントリー自体は
『僕だけが嫌韓流の販売戦略を分かった、
分からない愚民ども目を覚ませ』
としか、読めないんですがwwww
Rédigé par : nullpo | lundi 12 septembre 2005 à 21:19
ぶっちゃけマンガ嫌韓流読んでないんですけど、やはりアレだけ話題になると実名を信じる方々にも多大な影響力があるんですかねい。
読んでないので内容が正しいかはようわからんのですが、権威主義に騙されることのないようにしたいものですな(苦笑)
Rédigé par : サスケット | lundi 12 septembre 2005 à 01:16
前回の3つの間違いについては否定されなかったので訂正されない限り今後必ず明記していこうと思います。
・視聴覚コミュニケーション法の解釈の間違い。
・IPv4動的割当及びプロクシの意味の間違い。
・エントリは無条件に信じろ。コメントは信じるな。という意味不明を押し付ける矛盾。
ワザと入れられた間違いは数が多すぎるので少しずつ書いていきたいと思いますが、とりあえず、エントリ毎にでワザと入れられている間違いを書いておきたいと思います。
このエントリでワザとやられているものは、
・「マンガ嫌韓流」は、ニッチ市場を狙ったものであるという断定。
・『「流行」というのはほとんどの場合意図的に作り出すものであって自然発生するものではない』という無意味な思い込みで「マンガ嫌韓流」がほとんどの中に入っているという訳の解からない断定。
Rédigé par : 平田 | lundi 12 septembre 2005 à 00:58
問い合わせて自説(推測・憶測・勝手に作ったプロクシ知識やIPv6の定義)が全面否定されたらまずいかもしれないですね。
ちゃんと調べて書かない人に追加調査(検証)を求められるのは不安です。
Rédigé par : イッパンジン | lundi 12 septembre 2005 à 00:51
>オピニオン漫画としての地位を既に確立している「新ゴーマニズム宣言」が
>むしろ特別扱いされている可能性もあることを十分に考慮すべきでしょう。
これについて朝日新聞に電話で問い合わせしている人たちもいてそのレポートがネットにあがっているわけですが、その内容についてはあえてさておき。
なぜ小倉さんは推測だけ述べて問い合わせるということをしないんでしょうか。
Rédigé par : U-me | lundi 12 septembre 2005 à 00:23