今回の大晦日は、ゆっくりと紅白歌合戦を観ました。
紅白歌合戦は、ここ数年、音楽における世代間の断絶を再確認する場に成り下がっています。今回のスタッフはそこのところを分かっているのか、旧世代と新世代とを時間的に峻別しないことにこだわった構成をしていたため、久しぶりに最初から最後まで観たというところです。
ここ数年演歌勢やニューミュージック勢は、歌詞・メロディともに「プロの作品として出すのはいかがなものか」としか私には思えないものばかりだった(紅白歌合戦でしかその種の歌は聴かないので、紅白では歌わせてもらえない歌の中には素晴らしい作品があるのかも知れませんが。)ので、「『スキウタ』上位に選ばれた歌を歌わなければならない」という大義名分のもと、過去の名曲を歌うことができたベテラン勢は醜態をさらさずに済んで良かったのではないかと思いました。
阿久悠さんは「今の音楽は歌詞に訴えかけるものがない」と言ったそうですが、「今の演歌、歌謡曲は歌詞に訴えかけるものがない」という意味ならばそれは肯定できなくないでもないにせよ、「今のJ-POPには歌詞に訴えかけるものがない」という意味ならばそれは違うのではないかと言わざるを得ないと思います。もちろん、9.11以降の世界に訴えかけるような歌詞は日本のメジャーどころではMr.Childrenの桜井くんくらいしか書いていないのかも知れないけれども(あるいは、市川喜康さんの「Triangle」もそうかも知れないけど。)。
「世代」という点に絡めて別の話をすると、今回の紅白では、「モーニング娘。」は脱退者を含めた特別ユニットを結成して歌ったわけですが、それはそれで現在メンバーの華のなさを露呈する結果に終わってしまった感があります(普通は、若い方が華があるので、脱退者の方がかわいそうなことになるのですが。)。ヒットチャートからも読み取れる「モーニング娘。」の没落ぶりは、あながちつんくさんのソングライターとしての才能の問題ばかりでもないのだなあと思いました(私的には、楽曲面で言っても、「モーニング娘。」は「真夏の光線」が頂点で、あとは質的には落ちていく一方という感じがしてはいますが。)。
今回の紅白でのベスト・パフォーマンスは「Def Tech」かなと私は思いました。年明けのチャートではまたランクが上がるのではないでしょうか。折角のスペシャルゲストの松任谷由実も、「Def Tech」のあとでは今更感が漂ってしまってかわいそうなことになってしまったなあと思ってしまいました。「世界のお友達」のレベルに合わせたのかも知れないけれども、BoAがあれだけのパフォーマンスをこなすのだから、もう少し近隣諸国のパフォーマーのレベルを信じて楽曲作りをしてもよいのではないかと思いました。
最後に、戦後60年を音楽で振り返る企画で、最後に「恋のマイアヒ」が出てきたときには、昨年のあの騒動はいったい何だったのだろうかと思わず笑いそうになってしまいました(まあ、大塚愛も平然とプラネタリウムですし。)。
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