「ことのは」騒動で見られた面白い現象の一つは、自身匿名でしか意見を述べていない人々が、松永さんの属性を問題視しているところです。
「それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか」が重要であり、それを知る重要な手がかりとして発言者の属性が重要であるというテーゼを受け入れてしまった場合、発言者の属性が検証可能な程度に明らかになっていない発言というのは「それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか」を知る手がかりを読者に明確に与えないが故に、表現としての価値を失うと言うことになります。しかも、「それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか」を知る重要な手がかりとしての発信者の属性情報というのは、私がこれまで話題としてきた「発信者に責任を追及する際に活用される発信者の属性情報」よりはかなり広汎なものとなることは明らかです。また、「発信者に責任を追及する際に活用される発信者の属性情報」については、「発信者に責任追及を行う際」にその情報を容易に入手できる仕組みが用意されていればいいので常にそれを表示している必要は必ずしもないのに対し、「『それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか』を知る重要な手がかりとしての発信者の属性情報」についてはその発信者による発言を読むにあたって誰でも容易に入手できる仕組みが用意されている必要があるわけで、その情報は常にその人の発言とリンクされる形で表示されることが求められます。
そういう意味では、「発信者に責任を追及する際に活用される発信者の属性情報」の開示に消極的な方が、「『それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか』を知る重要な手がかりとしての発信者の属性情報」の開示に積極的であるとすれば、それは立派に矛盾しているのであり、自分自身については「発信者に責任を追及する際に活用される発信者の属性情報」を開示することすらいろいろと理由をつけて拒否しておきながら他人に対しては「『それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか』を知る重要な手がかりとしての発信者の属性情報」の開示を求め、あるいは開示しなかったことを非難しているとすればそれこそ「ダブルスタンダード」ということができます(その逆は、矛盾ともダブルスタンダードともならないことは、開示される範囲及び開示される機会の広狭を考えれば明らかであると言えます。)。
もっとも、「自分は安全なところに身を置いて、他人を上から目線で攻撃することによって、日頃のストレスを発散したい」という意図から「発信者に責任を追及する際に活用される発信者の属性情報」が責任追及者に容易に知られうる状態を回避したいという方々が「(元)オウム」という発言者の属性をことさらに問題視しようとする意図は想像可能です。「オウム」というレッテルは相手の現在の現実の活動や人格等を無視して「絶対悪」との評価を押しつけることができるものとして広く活用されてきたものであるので、「自分は安全なところに身を置いて、他人を上から目線で攻撃することによって、日頃のストレスを発散したい」人々にとっては、正面から攻撃してもあっさり反撃されてしまいそうな「アルファブロガー」に「(元)オウム」というレッテルを貼って攻撃することができるというのはまさに「至福の瞬間」であろうことは予想できます。そういう意味では、もともと卑怯な人々がやっぱり卑怯な行いをしているだけということで、ことのは騒動も「ネット上では見飽きた光景」の一つにすぎないのかなあという気がします。
【今日聴いた曲の中でお勧めの1曲】
Bric À Brac
by Priscilla
>開示を受けた個人情報を元に発信者の過去の信仰歴などを調査
する必要もなく共通IDだけで河上イチロー=松永氏と結びつけられてしまうという話なんですけどね。
共通IDがなくてもいろいろトレースされてる例としていくつかサイトをあげておきますが
http://d.hatena.ne.jp/sakichan/
http://d.hatena.ne.jp/Fukui_Toshiki/
共通IDがなくてもこういうことをされている上に、共通IDがあるとさらに情報は集められるわけです。共通IDによって信頼性が高められた上で。
もっとも「小倉式共通IDが導入されていたのなら過去にしたような振る舞いはしなかったはずだ」と言われてしまうと「まあそうかもしれません」と言うしかなかったりするのですけど(弱)
Rédigé par : U-me | lundi 20 mars 2006 à 22:27
もともと本エントリの趣旨は、「発言内容を補完する意味での個人情報等が常に開示されるべきだという見解が、発信者責任追及に必要な個人情報等を開示することに反対するという見解と矛盾する」というものであって、そういう見解をとってない人への批判は含んでいないということがいえそうです。
ただ、プロバイダ責任制限法第4条第3項によって取得した発信者情報等の目的外使用を禁じられる者の中には、上記見解を採っている人もいるわけで、開示要件が緩やかになるほど、目的外使用のリスクは高まるといえます。単なる禁止規定で対応できるかは検討の必要があるでしょう。
ところで、プロバイダ責任制限法改正案は、共通IDの公衆開示を許容しているのであるから、やり方によっては複数ハンドルネームの名寄せが可能となると思います(福田さんのように、同一の個人情報に裏付けされた複数のIDを許容するのであれば、そのリスクはある程度回避できるでしょうが。)。そして、その分センシティブ情報を推知される危険性も高まります。
Rédigé par : 佐藤 | lundi 20 mars 2006 à 11:47
じゃあプロバイダ責任制限法の改正案は関係ないよ?
Rédigé par : irose | lundi 20 mars 2006 à 11:31
情報の入手経路にかかわらず、個人情報を開示することによって、「不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害すること」が問題なのです。
Rédigé par : Hideo_Ogura | lundi 20 mars 2006 à 10:50
じゃあ、「プロバイダに問い詰めて開示させようぜ」と言う人は(見た限りでは)いないんだから、
矛盾しない代わりに関係もありませんよ?
Rédigé par : irose | lundi 20 mars 2006 à 10:30
私の案は、プロバイダ責任制限法の改正案であって、プロバイダ責任制限法第4条第3項はそのまま残そうということですから、責任追及のために発信者情報の開示を受けた人が開示を受けた情報を当該目的以外の目的に流用し、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害することはなおも禁止されることになります。
したがって、開示を受けた個人情報を元に発信者の過去の信仰歴などを調査してこれを公開することは許されないということになります。
ということで、ちょっと考えれば矛盾がないことがわかると思うのですが。
Rédigé par : Hideo_Ogura | lundi 20 mars 2006 à 01:45
ああなんかブーメランのもとがたくさん。
というか小倉さん、結局個人のトレースを容易にするシステムの導入に賛成なのか反対なのかはっきりしていただきたいものです。
もし何年も前から小倉式共通IDが導入されていたら松永氏は河上イチローであったことを隠すことができません。センシティブもへったくれもなくそういった過去は晒されてしまうわけです。
>本人が積極的にそれを開示しているのでなければ、周囲がとやかく言うべきものではありません。
なんて話をするまでもなく、開示させられてしまうのです。上記の理屈に照らせば、周囲がとやかく言ってもいいものになってしまいます。
小倉さんは
・松永氏が河上イチローであったことを容易に判明させることができるシステムを推進しようとしていて
しかし
・松永氏が河上イチローであったことは隠す権利があり、それを暴くことはよくない
と言ってるわけです。
自分でおかしいとは思いませんか?
Rédigé par : U-me | dimanche 19 mars 2006 à 21:58
貴方はどうしてそんなに単純なんですか?
だいたい、「(元)オウム」というだけのことを問題視しているのではなくて「それら論調がなぜ出ているのか、何の為に言っているか」が組み合わさっていることを言っているのに、相手の意図を態と曲解して印象操作するという姑息なことをいつまでやっていれば気が済むんですか。
騒動の当本人は今回のことを正面から受け止め正しく対処しようとしているように見受けられます。また1つ炎上の良い実例が増えそうですね。炎上によって心を歪めてしまうか、プラスにするかは本人次第だということですよ。そういう意味では炎上の被害者なんていないんですよ。炎上は事件でもなんでもなく単に現象に過ぎないのですよ。
Rédigé par : 平田 | dimanche 19 mars 2006 à 20:40