5月20日、21日と、日本民事訴訟法学会に出席するために、岡山に行ってきました。
折しも、第1回目の新司法試験が行われていたので、何人かの先生方と新司法試験のお話をレセプション会場などでしたりもしました。
第1期の既習コース卒業生が生まれ、新司法試験が行われている。この段階に至っても、各法科大学院からは、自分のところの卒業生はこんなにすごいのだというアピールが一切伝わってきません。第1期既習コースの卒業生は、第1回目の新司法試験に合格した場合、旧司法試験合格者と就職市場で競合するわけですから、旧司法試験合格者と比べて自分のところの卒業生はこんなにすごいのだということを、彼らの主たる就職先である既存の法律事務所に説得的にアピールしてあげないと、既存の法律事務所は旧司法試験合格者からしか採用しないおそれがあります。特に、バックにいる大学のブランドイメージが劣る法科大学院は、ブランドイメージに勝る法科大学院の卒業生よりも自分たちの卒業生はこんなところがすごいのだということを積極的にアピールしないと、既存の法律事務所の多くはブランドイメージの劣る法科大学院の卒業生を採用の対象から除外してしまいます(採用担当専従者をおく余力はほとんどの法律事務所にはありませんから、弁護士業務の傍ら、就職希望者との面接などを行わなければならないので、実際に面接できる人数および一人あたりにかける時間はかなり限られてしまうのです。)。
もちろん、既存の法律事務所に就職できなくとも、企業内弁護士などの進路だってあるとは抽象的にはいえます。が、学部卒を採用して社内で4年OJTで鍛え上げるよりも、あるいは、企業法務の経験者を中途採用するよりも、自分たちの法科大学院を卒業して1回で新司法試験に合格し1年の新司法修習を経た者を新規で採用した方がコストパフォーマンスがよいのだということを説得的にアピールしてあげないと、企業は、新司法試験合格者を企業内弁護士として採用する気にならない可能性が多分にあります(といいますか、未だ企業内弁護士をおいていない企業が新人弁護士を企業内弁護士として雇い入れるのって、処遇とか研修とかを考えると、それ自体結構抵抗感があることが予想されるので、法科大学院の関係者はその抵抗感を解いてあげるところから始めないといけないのではないかという気がしています。)。
アメリカの一流ロースクールがなぜ司法試験にとらわれない教育を行うことができるか、そして学生たちは司法試験向けの内職をするのではなくそのような教育に必死についていこうとするかといえば、そこで行われる教育の内容および教員の学生に対する評価に対しローファームが一定の信頼を置いており、ロースクール内で優秀な成績を収めた学生は評判の良いローファームからかなり良い待遇でのオファーを受けるからなのですが、日本の法科大学院については、そのような信頼を得ようという努力を法科大学院側がしているようには感じられなかったりします。
失礼ですが小倉先生はアメリカのロースクールを卒業したことがないのではありませんか?僕の専門学校のサイバー法の先生はハーバードLS出てLLMのあとJDになった人ですが、「ハーバードのブランドが通用するのは就職まで。パートナーになるかアソシエイトでクビになるかは実力次第。○○○○州立大ロースクール(無名だそうです)でた奴がキッシンジャーが顧問しているビッグファームのシニアパートナーまで登り詰めている。」と言ってますけど。
Rédigé par : 小倉(コクラ)秀夫です | mercredi 24 mai 2006 à 01:17