東京高裁が情報源に関する証言拒絶権を認めたそうです。
まだ高裁段階なので最終的な判断がどうなるのかはわからないのですが、これが判例として確立した場合、公務員は職務上知り得た情報をマスメディアに提供する分には、守秘義務違反に事実上問われなくなるということで、「マスメディアへの情報提供」は「公務員の守秘義務」についての事実上の例外となるということになりそうです。
「情報源の秘匿」が、マスメディアが公務員の不正を監視するために用いられるのではなく、マスメディアが私人を攻撃する際にマスメディアに協力して違法に情報の横流しをした公務員を庇うために用いられ、それに裁判所がお墨付きを与えてしまうあたり、日本的だなあと思ってしまいます。
落合先生は地裁決定を問題視されているようですが、官庁等に把握されている個人情報が適切に管理される可能性を弱めるものとして、高裁決定の方が問題が多いように私は思いました。
私の主人からの情報提供です。
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法制審議会民事訴訟法部会は平成2年7月、民事訴訟法手続の見直しを決め、作業に着手。平成3年12月12日「民事訴訟手続に関する検討事項」を発表して、関係団体に意見を求めた。
同要綱の内容は広範囲にわたり、記者の証言拒否権はその一部に過ぎないが、要綱のすべてに触れる余裕はないので、ここでは要綱の中に挙げられている条項を以下に掲げる。 「証言拒絶権(第281条)新聞、通信、放送その他の報道の事業の取材又は編集の業務に従事する者は、取材源に関する事項で黙秘すべきものについて、証言を拒絶することができる」
日弁連は、この条項に賛意を表するとともに、「従事した者」も含ませるべきであると、次のように述べている。
「取材源(それを)明らかにすると取材源が明らかになる蓋然性が高い事項を含む)の秘匿は、それを保護することによって取材の自由を守り、もって報道の自由を確保しようという趣旨から認められるのであるから、報道の事業から退いた者であっても、従事中に生じた事由に関しては、拒絶権を認めるものとすべきである」
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http://www10.plala.or.jp/apoe/media_jihyou02.html
Rédigé par : 憑依 | samedi 17 juin 2006 à 19:46
判文をすべて読んでいないので断定はできませんが、
>「取材源の秘匿は、知る権利を守るという公共の利益につながるもので、取材源に守秘義務違反があっても取材源は秘匿できる」
とある以上、守秘義務違反が問われなくなることはないと思います。
また、証言拒絶を認めたからといって、守秘義務違反の疑いで捜査を行うことはできるのだから、「『公務員の守秘義務』についての事実上の例外」とはどういう意味なのかがよくわかりません。
Rédigé par : 佐藤 | vendredi 16 juin 2006 à 06:48